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間質性膀胱炎(interstitial cystitis; IC)

一般的な膀胱炎は急性細菌性膀胱炎で、女性に多いポピュラーな病気です。
膀胱炎は尿をためる袋である膀胱に、尿道から細菌が入って炎症を起こす病気のことです。膀胱炎の三大症状は、頻尿、排尿時の痛み、尿の濁りで、排尿後に拭いたトイレットペーパーに血液が付着したり、切迫性尿失禁を起こしたりすることもあります。

間質性膀胱炎は次のような症状や特徴があります。

間質性膀胱炎は「菌の感染」とは直接的には関係のない膀胱炎です。
間質性膀胱炎は頻尿、尿意切迫感、尿がたまった時の膀胱や尿場周辺の痛みを主症状とする膀胱の慢性炎症性疾患で、女性に多い病気です。

間質性膀胱炎には 2つのタイプがあります。

1つは、しばしば中央部分にま瘢痕形成を伴う発赤病変である"ハンナ病変"を有する"ハンナ型"と、もう1つは、膀胱を拡張している際中及び排液後に点状出血が起きるもののハンナ病変はない"非ハンナ型"です。

  • 尿がたまってくると痛みや不快感が増す
  • 排尿後は痛みや不快感が軽くなる
  • 尿の出はじめに時間がかかる
  • 排尿の勢いがあまりない
  • 月経前に膀胱周辺の痛みが増す
  • 便秘になると、膀胱や下腹部が痛む
  • セックス時に膀胱が痛くなる
  • ある種の飲食物を摂ったあとに症状が悪化する

以上に加えて尿検査で細菌の存在が確認されず、1~2週間抗菌薬による治療を受けてもまったく効果がない場合は、間質性膀胱炎である可能性が高いです。

心因性頻尿と間違われやすい

間質性膀胱炎はとても診断の難しい病気です。
症状が普通の急性膀胱炎と似ているため急性膀胱炎と診断され、その治療として、抗菌薬の投与を受けることが多いです。しかし、細菌感染による膀胱炎ではないため、抗菌薬投与の治療を受けても改善されません。検査でも細菌が検出されない、症状の原因がわからない、ということで精神的な原因を疑われることもあります。

間質性膀胱炎の典型的な症状は激しい頻尿と痛みです。
日中・夜間を問わない激しい頻尿と尿意切迫感、そして膀胱や下腹部の痛みです。
心因性頻尿の場合、夜間の頻尿はほとんど起こりませんので、心因性頻尿と間質性膀胱炎を判断するポイントにもなります。
排尿日誌が診断に役立ちます。

病態

グリコサミノグリカン(GAG)層の異常

膀胱の表面にあるグリコサミノグリカンと呼ばれる層があります。これは膀胱粘膜に細菌や有害物質が付着するのを保護したり、尿が浸透するのを防いだりする役割をします。この膀胱粘膜のグリコサミノグリカン(GAG)が何らかの理由で障害され、粘膜の透過性が亢進し、尿が膀胱粘膜下に浸み込み、知覚神経を刺激してしまうことによって、痛みが起こると考えられます。しかしグリコサミノグリカン(GAG)の障害の原因はわかっていません。

肥満細胞の活性化

通常、体内では病原体が外から侵入すると、肥満細胞(粘膜などに存在する細胞。太っているかのように大きい細胞のこと)は、ヒスタミンなどを放出し、炎症を起こして病原体の臓器への浸食を防ぎ、体を守るように働きます。

しかし、グリコサミノグリカン(GAG)層の障害により尿が膀胱粘膜下に浸み込むことによって、大量の肥満細胞が活性化し、慢性的に炎症を起こすことで自分自身の組織を障害してしまうことが原因のひとつと考えられています。

治療

手術療法
「麻酔下膀胱水圧拡張術」

膀胱に生理食塩水を注入して、水の圧力で膀胱を広げる方法です。
膀胱に生理食塩水を注入するだけとはいえ、膀胱が萎縮してしまっている患者さんにとっては、生理食塩水の注入とともに膀胱が広がるとひどい痛みを感じることになるため、腰椎麻酔や全身麻酔をかけて行います。

手術をしてすぐに症状が改善されるわけではなく、最初の1~2週間は症状が変わらないか、一時的に悪化し、やがて改善する場合が多いようです。また、手術の直後は血尿となりますが、これは数日で止まりますので、心配はいりません。また、術後10日目くらいに排便で力んだりしたことをきっかけに血尿になることがありますが、これも心配いりません。

この手術によって過半数の患者さんで術後、症状が緩和されると報告されています。

「経尿道的ハンナ病変凝固術」

間質性膀胱炎の中でもハンナ病変があるハンナ型間質性膀胱炎では、前述の麻酔科膀胱水圧拡張術と同時に、ハンナ病変部を電気やレーザーで焼灼凝固します。これにより、尿がたまった時の膀胱痛が軽減します。アメリカの間質性膀胱炎の治療ガイドラインでもすすめられている治療です。

薬物療法
塩酸アミトリプチリン

抗うつ薬ですが、心因性を原因として処方しているわけではありません。うつ病の治療薬として処方されるこの薬は、子どものおねしょの治療に使われることもある薬です。

膀胱を弛緩させる作用があるので、縮んだ膀胱をリラックスさせる効果があり、頻尿や尿意切迫感などを解消します。間質性膀胱炎の患者さんは、慢性的な痛みや昼夜を問わない頻尿によって睡眠不足に陥っていたり、うつ的な症状を起こしていたりする場合があります。抗うつ薬の効果で副次的に、うつ的な症状が軽減したり、眠りにつきやすくなったりもします。

抗ヒスタミン薬

間質性膀胱炎の患者さんでは、膀胱の粘膜下組織に肥満細胞が多く見られます。その肥満細胞は痛みを起こしたり、血管を拡張したりして症状を起こす原因となるヒスタミンが含まれており、これをコントロールし、症状を抑えると考えられています。

ただし、副作用として眠気が強いため、十分な量が内服できないことがしばしばあります。

膀胱内に直接薬物を注入する方法

ジメチルスルホキシド(DMSO)

膀胱内に直接薬を注入することで、膀胱壁に直接働きかけ、膀胱の炎症を抑えたり、膀胱粘膜を修復したりすると考えられています。

症状がひどい時に注入すると激しい痛みを引き起こすことがあります。また、注入後すぐから数週間、汗や呼気からニンニク臭が発生します。現在、臨床治験中です。

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