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骨盤臓器脱(pelvic organ prolapse; POP)

膣から骨盤内にあるべき臓器が脱出することです。膀胱瘤、直腸瘤、子宮脱の順に多く、膣断端脱や小腸瘤もあります。

骨盤臓器脱は次のような症状や特徴があります。

  • 脱出感・下垂感
  • 尿勢低下
  • 排尿困難
  • 尿意切迫感や頻尿などの過活動膀胱症状
  • 排便困難
  • 歩行困難
  • 下着にこすれて血液が付着

重症例では水腎症を起こし、腎機能低下をきたすこともあります。

原因

  • 妊娠・出産
  • 荷重労働
  • 便秘
  • 子宮摘出術
  • 加齢などによる骨盤底の脆弱化
  • 遺伝的な要因

治療

行動療法
骨盤底筋訓練

骨盤底筋訓練はstageの改善も報告されていますが、予防的役割の方が主と考えられます。

ペッサリー
  • おもに婦人科で行われ、3-6ヵ月毎に通院し交換します。
  • 脱落などで1ヵ月以内に使用中止となる症例が約1/4あるとの報告があり、出血、感染、膣びらんの形成などにより長期に継続できない症例もあります。
  • 長期に継続するためには自己着脱をして睡眠中ははずすなど、装着時間を短くする方法があります。
手術療法

従来法として膀胱瘤に対しては前膣壁縫縮術、子宮脱に対しては子宮摘出術、膣閉鎖術などあります。

近年、経膣的メッシュ手術であるtension-free vaginal mesh (TVM)手術が行われ、子宮脱に対して子宮を摘出せずに修復できるほか、子宮摘出術後の膣断端脱に対しても膣閉鎖を行わずに修復することができ、比較的再発も少なく良好な成績が得られています。

しかしメッシュトラブルに対するFDA(Food and Drug Administration:米国食品医療品局)アラートもあり、十分な技術の習得や適応症例を選ぶことが重要です。手術によって排尿症状だけでなく、蓄尿症状である過活動膀胱症状も過半数で治ります。

ただ、骨盤臓器脱と同様、骨盤底の緩みで起きる腹圧性尿失禁は、骨盤臓器脱の手術後、不変または悪化することがあります。
これは、手術前は下がった膀胱や子宮が尿道を後ろから圧迫して、尿を漏れにくくしていたため、腹圧性尿失禁が潜在化していたことによります。

さらに2015年4月からは腹腔鏡下仙骨子宮(膣)固定術(Laparoscopic Sacrocolpopexy; LSC)が保険適応となり、あらゆる種類の骨盤臓器脱に対して適応があります。経膣手術に比べメッシュトラブルが少なく、とくに性的活動を有する若年者に適しますが、経膣手術に比し手術時間が長くなることが多く、複雑な腹腔内手術の既往がある症例や極度の肥満症例などでは困難です。

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